「世田谷区には、どれくらいのお金があるの?」
「そのお金は、私たちの暮らしにどう使われているの?」
「ひきこもりや孤立、居場所づくり、子どもや高齢者の見守りなどには、どれくらいのお金が使われているの?」
区の予算というと、数字が大きく、難しい言葉も多いため、自分の暮らしとは少し遠い話に感じるかもしれません。
しかし、予算は私たちの暮らしと深くつながっています。
子育て、学校、福祉、介護、道路、公園、防災、地域活動、相談窓口。こうした区の取組の多くに、予算が使われています。
そこで「せたがやの声をカタチに」では、世田谷区のお金を一つずつ確認していきます。
そして、このシリーズで特に考えていきたいのが、
「孤立しない、孤独を抱え込まない地域をつくるために、世田谷区のお金はどう使われているのか」
ということです。
今回は、その入口として、まず世田谷区の予算全体を見てみます。
まず結論
令和8年度(2026年度)の世田谷区の一般会計当初予算は、4,313億5,300万円です。
前年度より317億3,600万円増え、7.9%の増加となっています。
「一般会計」とは、福祉、子育て、教育、道路、公園、防災など、区の基本的な仕事に使うお金をまとめたものです。
4,313億円という数字だけを見ると、とても大きなお金です。
しかし、大切なのは、予算が大きいか、小さいかだけを見ることではありません。何に使われるのか、なぜ増えたのか、そのお金はどこから来るのか。そして、実際に区民の暮らしがどう変わるのか。ここまで確認する必要があります。

世田谷区の予算は4,313億5,300万円
世田谷区は、令和8年度予算を「次世代を育む 暮らし応援予算」としています。
一般会計当初予算は4,313億5,300万円。前年度は3,996億1,700万円でした。
つまり、1年間で317億3,600万円増えています。増加率は7.9%です。
では、なぜ増えているのでしょうか。
区の資料では、本庁舎や学校の改築・改修などの公共施設整備に加えて、障害者自立支援給付や私立保育園運営などの社会保障に関する経費の増加が見込まれています。
また、物価や人件費の上昇を予算に反映していることも説明されています。
つまり、「予算が317億円増えた」という数字だけでは、その意味を判断できません。
施設を整備するために増えたお金もあれば、福祉などのサービスを支えるためのお金もあります。物価や人件費が上がったために必要となったお金もあります。
その中身を分けて見る必要があります。
孤立・孤独に関係するお金は、どこにある?
ここからが、このシリーズで考えていきたいテーマです。
世田谷区の予算書を見ても、
「孤立・孤独対策費 ○○億円」
という一つの大きな項目に、すべての取組がまとめられているわけではありません。
実際には、孤立・孤独や人とのつながりという視点から確認する必要のある取組は、さまざまな分野にまたがっています。
令和8年度の新規・拡充事業を見るだけでも、
・ファミリー・サポート・センター事業
・青少年交流センターの機能拡充
・学びの多様化学校等の開設
・ひとりぐらし高齢者の見守り機器利用補助事業
・終活支援センターの開設
・本庁舎等における区民利用・交流拠点施設の開設
などがあります。
ただし、ここで注意したいことがあります。
これらをすべて「孤立・孤独対策」と決めつけることはできません。それぞれの事業には、それぞれ本来の目的があります。
公式資料で孤立・孤独との関係が確認できない事業まで、こちらの判断だけで「孤立・孤独対策」と分類することはしません。
これから一つずつ、事業の目的、対象となる人、予算額、これまでの取組などを確認していきます。
例えば、高齢者の「見守り」
分かりやすい例として、令和8年度には「ひとりぐらし高齢者の見守り機器利用補助事業」が新規・拡充事業として掲載されています。
高齢者の一人暮らしが増えていく中で、「見守り」は暮らしの安心を考えるうえで重要なテーマです。
ただ、予算が付いていることだけで「十分な支援ができている」とは判断できません。
実際に何人が利用できるのか。必要としている人に制度が知られているのか。利用しにくい人はいないのか。見守りから必要な支援につながる仕組みになっているのか。
こうした点まで見て、初めて取組の意味が分かってきます。
「居場所」や「つながり」は、どこにある?
孤立・孤独を考えるうえでは、「居場所」や「人とのつながり」に関係する取組についても確認していきます。
令和8年度予算には、子ども・若者分野で青少年交流センターの機能拡充、教育分野では「地域とともにある学校」への取組、人権・コミュニティ分野では本庁舎等における区民利用・交流拠点施設の開設などが、新規・拡充事業として掲載されています。
こうした取組が、実際にどのような人に利用されるのでしょうか。
すでに地域とのつながりがある人だけでなく、
「人と話す機会が少ない」
「どこに相談すればよいか分からない」
「地域の集まりには入りづらい」
という人にも届くのでしょうか。
これは予算書だけでは分からない部分があります。
だからこそ、予算だけで評価を終わらせず、実際の利用状況や事業実績なども確認する必要があります。
予算が増えれば、暮らしは良くなる?
ここも大切なところです。
予算が増えたことと、暮らしが良くなったことは同じではありません。

例えば、ある相談事業の予算が増えたとしても、相談できる人が増えたのか、相談後に必要な支援につながったのか、相談窓口を知らない人に情報が届いたのか。こうしたことを確認しなければ、成果は分かりません。
予算は、政策を行うために投入する「お金」です。
そのお金を使って何を行い、結果として何が変わったのか。そこまで見ていくことが大切です。
このように、数字や事実をもとに政策を考える方法を「EBPM」といいます。
難しく聞こえますが、
「お金を使ったかだけではなく、実際に何が変わったのかも確認しよう」
と考えると、分かりやすいと思います。
4,313億円を、暮らしの言葉に置き換えていく
4,313億5,300万円。
この数字だけでは、私たちの暮らしとの関係はなかなか見えてきません。
そこで、このシリーズでは世田谷区の予算を少しずつ分解していきます。
まず第1回から第5回までは、世田谷区のお金の基本を確認します。
第2回では、「世田谷区のお金は、ここ数年でどう変わった?」を取り上げます。
その後、「4,313億円は、私たちの暮らしにどう使われる?」「世田谷区のお金は、どこから入ってくる?」「区の貯金と借金はどうなっている?」と続いていきます。
そして第6回以降は、予算の基礎を踏まえて、孤立・孤独、ひきこもり、居場所、子ども・若者、高齢者、障害のある人や家族、不登校、相談支援などを、分野をまたいで見ていきます。
ここが大切
今回確認できたことは、まず3つです。
・令和8年度の世田谷区一般会計当初予算は4,313億5,300万円
・前年度より317億3,600万円、7.9%増えている
・孤立・孤独や人とのつながりという視点から今後確認する必要のある取組は、子ども・若者、教育、健康・福祉、コミュニティなど、複数の分野にまたがっている

一方で、
「世田谷区はいくらを孤立・孤独対策に使っているのか」
については、この段階では一つの金額として示していません。
まず予算全体の構造を確認し、その後、公式資料で目的や内容を確認できる事業を一つずつ整理していく必要があるためです。
暮らしから予算を見てみませんか
予算を見る目的は、数字を覚えることではありません。
「自分たちが暮らしている地域では、何を大切にしてお金を使っているのだろう」
と考えるための材料にすることだと思います。
そして、行政の資料に書かれている数字だけでは分からないこともあります。
制度はあるけれど、知らなかった。
相談窓口はあるけれど、相談しづらかった。
参加できる場所はあるけれど、自分には入りづらかった。
反対に、
この取組があって助かった。
この場所があったから人とつながれた。
という経験もあると思います。
そうした暮らしの実感と予算の数字を一緒に見ていくことで、地域の課題が少しずつ見えてくるのではないでしょうか。
今後、確認していきたいこと
このシリーズでは、予算額だけでなく、
「誰に届いているのか」
「利用している人はどれくらいいるのか」
「必要としているのに利用できていない人はいないか」
「予算を使った結果、何が変わったのか」
という点も確認していきます。
公式資料で確認するとともに、対話会で寄せられた声とも照らし合わせながら考えていきます。
予算書だけでは分からないことについては、分からないまま結論を出さず、決算や事業実績、行政評価、議会での審議なども確認していきます。
まとめ
令和8年度の世田谷区一般会計当初予算は、4,313億5,300万円です。前年度から317億3,600万円、7.9%増えました。
しかし、大切なのは「4,313億円」という数字そのものではありません。
そのお金が、誰のために、何に使われ、どのような人に届き、暮らしにどのような変化をもたらすのか。そこまで見ていく必要があります。
「せたがやの声をカタチに」では、世田谷区の公式資料をもとに、確認できた事実と、まだ分からないことを分けながら、区民の目線で一つずつ確認していきます。
次回は、
「世田谷区のお金は、ここ数年でどう変わった?」
です。
令和8年度だけを見るのではなく、過去の予算と比べながら、世田谷区のお金がどのように変化してきたのかを見ていきます。
あなたの声を聞かせてください
あなたは、世田谷区のお金について、
「ここをもっと知りたい」
「この取組のお金はどうなっているの?」
と思うことはありますか。
また、地域で暮らす中で、
「こんな支援があって助かった」
「制度はあるけれど利用しづらかった」
「こういう場所が身近にあったらいい」
と感じたことはありますか。
「せたがやの声をカタチに」では、こうした暮らしの中の声も大切にしながら、世田谷区の予算を考えていきます。
情報源
・世田谷区「令和8年度(2026年度)当初予算概要」
・世田谷区「令和8年度(2026年度)世田谷区予算説明書(別冊)」
・世田谷区「令和8年度(2026年度)世田谷区予算・同説明書」
※この記事では、令和8年度の「当初予算」を基準に説明しています。年度途中の補正予算については、テーマに応じて別途確認します。
