災害時の連絡には、二つの方向があります。区や地域から避難・被害・支援の情報を受け取ることと、自分が無事であることや必要な助けを伝えることです。
スマートフォンは大切な手段ですが、電池、電波、通信回線、操作方法などの条件によって使えない場合があります。一つの方法だけに頼らず、紙、ラジオ、掲示、窓口なども含めて考えます。
「情報を受け取る」と「無事を伝える」を分けます
- 情報を受け取る:避難情報、被害状況、避難所、物資、相談先などを知る
- 無事を伝える:自分の安全、いる場所、必要な助け、折り返し方法などを知らせる
同じ道具が両方に使えるとは限りません。ラジオで情報を受け取れても、自分の状況は伝えられません。電話で無事を伝えられても、地域全体の案内を得られないことがあります。
情報の入口を一つにしません
- ラジオ・テレビ:電池や予備電源を含め、使える条件を確認する
- 防災行政無線:聞こえにくい場合に備え、別の方法でも確認する
- 区の広報、掲示、避難所やまちづくりセンター:紙や対面で得られる情報を考える
- ウェブ、メール、SNSなど:端末、電源、通信が使える場合に活用する
- 家族や知人、支援者:誰がどの情報を確認するかを事前に相談する
電気・通信・水道の被害想定
世田谷区の2026年8月更新版の被害想定では、都心南部直下地震が冬18時、風速8メートル毎秒で発生する条件について、上水道断水率23.2%、電力停電率18.9%、通信不通率11.5%とされています。
これらは区全体の設備や系統についての推計です。実際に被害を受ける世帯の割合や、スマートフォンが使えない人の割合ではありません。指標ごとに対象や分母が異なるため、数字を足し合わせません。
情報を見たら、発信元と時点を確かめます
- 誰が発信した情報か
- いつ発信・更新されたものか
- どの地域や施設を対象にしているか
- 予定、検討、実施中、終了のどの状態か
- 別の公式情報でも確認できるか
聞き伝えや一つの投稿だけで判断せず、可能な範囲で区や関係機関の情報と照らし合わせます。通信が使えないときは、掲示や避難所など、確認できる場所を平時に知っておくことも役立ちます。
171とweb171は別の方法です
- 171:音声で伝言を登録し、再生する方法
- web171:インターネットを通じて伝言を登録・確認する方法
利用には電話、通信、端末、サービスの提供状況などの条件があります。世田谷区地域防災計画には、災害用伝言サービスの利用体験や紹介が記載されていますが、災害時の利用条件は通信事業者の最新案内で確認します。
スマホを使わない安否確認の事例
2026年3月の区議会では、通信が途絶した場合に備え、カードや布などを使って無事や支援の必要を知らせる地域の取組が紹介されました。
これは区内で行われている事例の紹介です。区全体で同じ方法が統一されていることや、全ての家庭へ配布・実施されていることを示すものではありません。表示の意味、掲示する場所、表示がない場合の対応、個人情報の扱いまで、地域ごとに決める必要があります。
同じ情報でも、届きやすい形は違います
- 短い文章と、重要な内容を先に示す
- 大きな文字、図、音声、筆談などを組み合わせる
- やさしい日本語や、必要に応じた言語で伝える
- 聞こえにくい、見えにくい、読みづらい場合の相談方法を用意する
- 一度で理解しにくい場合は、繰り返し確認できるようにする
情報の受け取り方は、年齢や障がいの名称だけでは決まりません。本人が使いやすい方法を確かめます。
安否情報には、本人の意思とプライバシーがあります
- 誰へ無事を知らせるか
- いる場所をどの範囲まで伝えるか
- 健康状態や必要な支援を誰と共有するか
- 住所、家庭事情、病名などを広く公開しない
- 緊急対応が必要な場合と、通常の情報共有を分ける
安否確認の目的があっても、本人の情報を無断で広めてよいとは限りません。必要な情報を必要な相手へ伝えることを基本にします。
区の情報発信と検討中の仕組みを分けます
2026年5月の区議会委員会では、防災情報システムや自動配信など、区の情報発信に関する取組が説明されました。資料では同年6月からの運用予定とされた内容もあります。
予定や検討は、実際に運用を開始し、全ての人が利用できることを示す確定実績ではありません。現在使えるサービスとして案内する場合は、その時点の公式情報を別に確認する必要があります。
下馬地区の任意調査で示された助け合い
下馬地区の2024年の任意アンケートでは、回答者3,295人の複数回答で、安否を確かめる声かけ69.7%、情報を共有する55.0%、避難の手助け49.2%が、災害時にできると思う手助けとして挙げられました。
任意回答者の意識であり、区民全体の意見や実際の支援実績ではありません。情報共有についても、本人の同意とプライバシーへの配慮が必要です。
紙にも残しておきたい情報
- 家族、知人、支援先、行政窓口などの連絡先
- 避難所や地域で情報を確認する場所
- 171など、平時に確認した連絡方法
- 薬、医療、移動など、支援を求めるときに必要な内容
- 情報が古くなっていないかを見直す日
個人情報を記した紙は、本人が管理できる場所に保管し、不特定の人へ見せません。
対話の問い
- スマートフォンが使えないとき、どのような方法で情報を受け取れそうでしょうか
- 無事や困りごとを伝える方法を、複数用意するには何が必要でしょうか
- 紙や掲示を使う場合、意味、確認手順、個人情報をどう守ればよいでしょうか
出典・確認時点
この記事は、PowerPoint「S-T113_スマホ以外の防災情報と安否確認_解説資料」v1.0(2026年10月28日)をもとに、投稿用に整理しました。
主な確認資料:世田谷区地域防災計画、東京都避難者生活支援指針、世田谷区災害対策強化プラン、下馬地区防災計画、2026年3月・5月の区議会会議録など。災害時は区や関係機関の最新情報を確認してください。

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