【世田谷で災害に備える⑩|S-T114】災害直後の72時間、地域と行政はどう動く?

大きな災害が起きた直後は、救助、火災への対応、避難所の開設、安否確認など、多くの仕事が同時に必要になります。しかし、行政や地域の人員・物資には限りがあります。

「72時間」は災害対応の一つの区切りとして使われますが、72時間が過ぎれば救助や支援が終わるという意味ではありません。時間の経過に伴って、安全確保から避難生活、健康、物資、住まいの支援へ重点が変わります。

目次

災害対応は、72時間で終わりません

  • 発災直後:身の安全、火災や倒壊への対応、救助、避難
  • 24~72時間:避難所運営、安否確認、物資・医療・情報の確保
  • その後:在宅避難者への支援、健康管理、住まい、生活再建

実際の優先順位は災害の種類や被害によって変わります。時間だけで機械的に区切らず、その時点の危険と必要な支援を確認します。

一人だけ、地域だけでは支えきれません

  • 本人・家庭:安全を確保し、可能な範囲で状況を伝える
  • 地域:安全な範囲で声かけや情報共有を行う
  • 避難所運営:建物の安全確認、受入れ、生活・健康支援を行う
  • 区・関係機関:救助、情報、避難所、物資、福祉・医療などを調整する

地域の助け合いは重要ですが、危険な救助や専門的な支援を住民だけへ任せるものではありません。できないことや足りないことを共有し、区や関係機関へつなぐことも役割です。

区の業務継続計画にある必要人員と参集見込み

世田谷区の2026年3月修正の業務継続計画では、地震時の非常時優先業務について、24時間以内の必要人数2,837人に対して参集見込み2,713人、48時間以内は必要3,144人に対して2,713人、72時間以内は必要3,437人に対して2,713人としています。

差は24時間以内124人、48時間以内431人、72時間以内724人です。これは計画上の必要人数と参集見込みの比較で、実際の災害時に勤務していた人数や、職員が不足した実績ではありません。

発災直後に確かめたい三つのこと

  • 安全:建物、火災、浸水、道路などの危険
  • 人:けが、体調、避難や手助けの必要
  • 情報:区や関係機関の案内、避難所、支援の状況

目の前の人を助けたい場合も、支援する側が危険な場所へ入ることは避けます。緊急時は消防、警察、区などの公的機関につなぎます。

避難所は、開設後も多くの仕事があります

  • 施設や周辺の安全確認
  • 避難者の受入れと情報整理
  • 水、食料、トイレ、寝る場所などの確保
  • 健康、医療、福祉、プライバシーへの配慮
  • 自宅など避難所外で過ごす人との支援の接点

避難所が開いたことだけで、十分な物資や支援が整ったとは限りません。受入れ人数や設備、職員・運営者の状況は災害ごとに変わります。

避難所にいる人も、自宅にいる人も支援対象です

避難所に行かず、自宅や知人宅などで避難生活をする人にも、物資、健康、医療、情報などの支援が必要になることがあります。避難生活の場所が違っても、困りごとを把握し、支援へつなぐ考え方が必要です。

ライフラインの被害想定

世田谷区の2026年8月更新版の被害想定では、都心南部直下地震が冬18時、風速8メートル毎秒で発生する条件について、上水道断水率23.2%、電力停電率18.9%、通信不通率11.5%とされています。

これは区全体の設備や系統についての推計で、実際の被害や世帯ごとの被害確率ではありません。停電、断水、通信障害が重なる場合に、物資や情報をどう届けるかを考える材料です。

物資配送は、段階と役割を分けて計画します

  • 国や東京都などから届く物資を受け取る
  • 区の拠点や倉庫で仕分け・保管する
  • 避難所などへ配送する
  • 在宅避難者などへ物資情報や受取方法を伝える

倉庫に備蓄があることと、必要な人へ届くことは同じではありません。道路、車両、人員、受取拠点、情報共有などが必要です。区の配送計画は仕組みを示すもので、全ての家庭へ直ちに配送されることを保証するものではありません。

行政資料の「想定・計画・実施」を分けます

  • 想定:一定の条件で計算した被害や必要人数
  • 計画:災害時に行う業務や役割を定めたもの
  • 予定・検討:これから進める内容
  • 実施:実際に行った取組
  • 確定実績:対象期間が終了し、確認された結果

2026年5月の区議会委員会では、2025年度に防災塾を実施した状況や、2026年度の予定、物資管理などが説明されました。過去の実施と今後の予定を混同しないようにします。

72時間の先まで支援をつなぎます

安全を確保した後も、避難生活、健康、介護、医療、物資、住まい、仕事や学びなどの問題が続く場合があります。支援が長くなるほど、一つの団体や人へ負担を集中させず、役割を引き継ぐ仕組みが必要です。

平時に確かめたい連絡先と役割

  • 緊急時に連絡する公的機関
  • 避難所や地域の情報を確認する場所
  • 福祉・医療・介護など日頃の支援先
  • 地域で安全にできることと、行政へつなぐこと
  • 連絡が取れない場合の代わりの方法

対話の問い

  • 発災直後に、自分や地域で最初に確かめたいことは何でしょうか
  • 地域でできることと、行政や専門機関へつなぐことをどう分ければよいでしょうか
  • 72時間を過ぎた後も、生活支援を切らさないために何が必要でしょうか

出典・確認時点

この記事は、PowerPoint「S-T114_災害直後72時間と地域行政_解説資料」v1.0(2026年10月28日、10月29日追補)をもとに、投稿用に整理しました。

主な確認資料:世田谷区業務継続計画、世田谷区地域防災計画、東京都避難者生活支援指針、世田谷区災害時物資配送計画、世田谷区災害対策強化プラン、2026年5月の区議会会議録など。

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この記事を書いた人

吉永しんいちのアバター 吉永しんいち せたがやの声をカタチに 運営

世田谷区に22年住んでいる関西人です。
よくしゃべり、よく笑い、よく食べるタイプです。
趣味は食事とゲームと読書です。

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