【施設訪問レポート】世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」を訪問しました

目次

はじめに

「せたがやの声をカタチに」では、地域で暮らす方々の困りごとや、地域で行われている支援について知るため、世田谷区内の相談先や支援機関などを訪問しています。

2026年6月23日、世田谷区大蔵にある「世田谷区発達障害相談・療育センター『げんき』」を訪問しました。

地域支援部門 主任の細田尚久さんに、「げんき」が行っている相談や支援、地域の関係機関との連携についてお話を伺いました。

今回は、訪問で伺った内容と公開されている資料をもとに、「げんき」が地域の中でどのような役割を担っているのかを整理します。


訪問概要

訪問日
2026年6月23日

訪問先
世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」

お話を伺った方
地域支援部門 主任 細田尚久さん

所在地
〒157-0074
東京都世田谷区大蔵2丁目10番18号
大蔵2丁目複合型子ども支援センター2・3階


世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」とは

「げんき」は、世田谷区の発達障害支援の中核的な施設として開設された相談・療育の施設です。

正式名称は、

世田谷区発達障害相談・療育センター

で、「げんき」という愛称で呼ばれています。

開設日は平成21年4月1日です。

平成20年に策定された「世田谷区発達障害児支援基本計画」に基づいて設置され、その後は世田谷区の発達障害支援に関する方針のもと、幼児期から成人期までを見据えた支援を行っています。

相談を受けるだけではなく、療育、家族への支援、学校や保育園などへの助言、関係機関との連携など、幅広い役割を担っています。


どのような方が相談できますか

「げんき」は、発達障害と診断されている方だけを対象にしているわけではありません。

対象として案内されているのは、主に次の方です。

  • 世田谷区内に住む、発達障害またはその疑いのある方
  • ご家族
  • 保育園・幼稚園・学校など区内の関係機関

年齢を問わず相談できます。

一方、「アセスメント」は18歳未満が対象とされています。

アセスメントとは、本人の行動や生活の様子などを確認し、どのようなことに困っているのか、どのような関わりや支援が考えられるのかを整理することです。

特徴的なのは、診断名だけで支援の必要性を判断するのではなく、発達の特性によって生活の中で困っていることがあるかどうかという視点を大切にしていることです。


主な取り組み

1.相談

電話相談や来所相談を通じて、本人、ご家族、関係機関からの相談に対応しています。

相談内容は、発達特性そのものだけではありません。

日常生活、人との関わり、学校や家庭での困りごとなど、生活の中で生じているさまざまな相談に対応しています。


令和7年度の電話相談

令和7年度の電話相談件数は、1,336件でした。

令和6年度は1,296件で、前年度より40件増えています。

ただし、件数が増えた理由については、この数字だけでは判断できません。

年代別の内訳は、

  • 幼児 45%
  • 小学生 36%
  • 中学生 9%
  • 高校生 3%
  • 成人 6%

となっています。

幼児と小学生を合わせると、全体のおよそ8割を占めています。

相談内容では、「行動」に関する相談が最も多いとのことです。


来所による相談も行われています

児童の来所相談については、令和7年度に次の実績が示されています。

令和7年度

  • 初回相談 207件
  • アセスメント 180件
  • 継続相談 416件

前年の令和6年度は、

  • 初回相談 178件
  • アセスメント 164件
  • 継続相談 366件

でした。

いずれも令和7年度は前年度を上回っています。

ただし、この増加だけから「発達障害のある方が増えている」「地域の支援ニーズが急激に高まっている」などと判断することはできません。

相談先の認知、相談方法、継続相談のあり方など、さまざまな要因が考えられるため、背景については今後も継続して見ていく必要があります。


「診断があるか」だけで考えない支援

世田谷区では、令和3年に「世田谷区発達障害支援基本方針」を策定しています。

この方針では、単に、

「発達障害という診断があるかどうか」

を見るのではなく、

「発達特性によって、生活の中で困りごとが生じているかどうか」

を重視しています。

支援の基本的な目標として、

発達障害の特性がある区民が、住み慣れた地域で、自分らしい生活を安心して続けられるよう支援すること

が掲げられています。

その実現に向けて、主に次の方向性が示されています。

  • 必要な支援へ早期につながること
  • 本人や家族の困りごとを減らすこと
  • 地域で合理的な配慮を受けられること
  • 幼児期から成人期まで切れ目なく支援すること

「合理的な配慮」とは、その人の特性や困りごとに合わせて、生活や活動に参加しやすくなるよう、環境や方法を調整することです。


「げんき」が地域で担っている役割

「げんき」は、本人への相談や療育だけを行う施設ではありません。

発達障害支援の中核的な拠点として、次のような役割を担っています。

  • 発達障害への理解を地域へ広げる
  • 専門的な療育を行う
  • 保護者や家族を支援する
  • 保育園・学校など関係機関への研修や助言を行う
  • 相談、アセスメント、フィードバックを行う
  • 関係機関との連携体制をつくる

本人だけを見るのではなく、家族、保育園、学校、地域の支援機関なども含めて支援を考えていることが特徴です。

発達特性による困りごとは、本人だけの努力で解決できるものばかりではありません。

家庭、学校、職場、地域など、周囲の環境との関係によって困りごとの大きさが変わる場合があります。

そのため、本人への直接的な支援だけでなく、周囲の人や関係機関への情報提供や助言も重要な役割になります。


実際に訪問して分かったこと

今回の訪問で特に印象に残ったのは、発達障害の支援を本人だけを対象としたものとして考えていないことでした。

本人、ご家族、学校、保育園、地域の関係機関など、多くの人や機関が関わりながら支援していくことを大切にしていることが分かりました。

また、

「診断があるかどうか」ではなく、「生活の中で何に困っているのかを見る」

という考え方も印象に残りました。

「発達障害なのかどうか」を最初に決めるのではなく、その人が学校、家庭、仕事、人との関係などで何に困っているのかを整理する。

そのうえで、どのような関わりや環境が必要なのかを考えることの大切さを、改めて感じました。


ここから見えてくる地域の課題

今回の訪問から、発達特性のある方を地域で支えていくうえで、いくつか考えていきたい点が見えてきました。

相談先を知ることができているか

世田谷区には「げんき」のような相談先があります。

一方で、本人やご家族が、

「この程度の困りごとでも相談してよいのか」

「診断がないと相談できないのではないか」

「どこへ相談すればよいのか分からない」

と感じる場合も考えられます。

支援制度を整えるだけでなく、必要な人に相談先の情報が届く仕組みについても考えていく必要があります。


幼児期から成人期まで、どうつないでいくか

世田谷区の方針では、幼児期から成人期まで切れ目なく支援することが掲げられています。

しかし、実際の生活では、

保育園から学校へ進む。

学校から就職へ進む。

子どもの支援から成人の支援へ移る。

といった節目があります。

そのたびに関係する施設や制度が変わる場合があります。

本人や家族がその都度一から説明し直すことなく、必要な支援につながり続けられる仕組みは、地域全体で考えていく必要があるテーマです。


本人だけでなく、周囲の環境も考える

発達特性による困りごとは、本人の特性だけで決まるものではありません。

学校や職場の環境、周囲の理解、伝え方、仕事や活動の進め方などによって、困りごとが小さくなる場合があります。

本人だけに変化を求めるのではなく、

「環境をどう工夫できるか」

という視点も、地域で暮らしていくうえで重要です。


支援する人・機関同士をどうつなぐか

「げんき」は、本人・家族だけでなく、保育園、学校、地域の関係機関とも連携しています。

一人の方が抱えている困りごとは、福祉、教育、医療、就労など、一つの分野だけでは整理できない場合があります。

どこか一つの施設ですべてを支えるのではなく、それぞれの支援機関が役割を持ちながら、必要に応じてつながることが重要だと考えます。

今回の訪問だけでは、世田谷区全体でどの程度連携ができているのかまでは判断できません。

今後、ほかの支援機関や本人、ご家族の声も聞きながら確認していきたいテーマです。


「せたがやの声をカタチに」として

「せたがやの声をカタチに」では、地域で暮らす方々の困りごとや思いを伺い、対話を通じて地域の課題として整理する活動を行っています。

今回の訪問から改めて感じたのは、困りごとを本人だけの問題として考えないことの大切さです。

本人が困っているとき、

「本人がもっと頑張ればよい」

と考えるのではなく、

「何に困っているのか」

「どのような環境なら過ごしやすいのか」

「周囲にはどのような工夫ができるのか」

「どの支援先につながればよいのか」

ということを、一緒に整理する視点が必要です。

また、行政による専門的な支援、学校や地域での関わり、安心して相談できる場所などは、それぞれ異なる役割を持っています。

一つの制度や施設だけですべてを解決するのではなく、それぞれがつながることが大切です。

一方、今回の「げんき」への訪問だけで、世田谷区の発達障害支援全体を評価することはできません。

今後も、本人、ご家族、支援者、学校、地域団体など、さまざまな立場の声を聞きながら、

  • どのようなことで困っているのか
  • どこにつながりにくいのか
  • どのような支援が役立っているのか
  • 地域として何が必要なのか

を整理していきます。


施設・相談先情報

名称
世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」

所在地
〒157-0074
東京都世田谷区大蔵2丁目10番18号
大蔵2丁目複合型子ども支援センター2・3階

電話
03-5727-2235

メール
g-genki@topos.or.jp

対象
世田谷区内に住む発達障害またはその疑いのある方、ご家族、区内の関係機関など

※相談内容や年齢などによって利用方法が異なる場合があります。

※利用条件、受付時間、相談方法などは変更される場合があります。最新情報は「げんき」や世田谷区の公式情報をご確認ください。


出典・参考情報

この記事は、次の情報をもとに作成しています。

  • 2026年6月23日の「げんき」訪問時に伺った内容
  • 世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」に関する資料
  • 世田谷区発達障害支援基本方針
  • 令和6年度・令和7年度の相談実績として訪問時の記事資料に掲載していた数値

※今後、公式ページへのリンクをWordPress上で設定する場合は、「げんき」公式情報と世田谷区の発達障害支援基本方針へのリンクをここに配置します。


地域の困りごと・気づきをお聞かせください

「せたがやの声をカタチに」では、地域で暮らす皆さんからの困りごとや気づきを集めています。

発達特性や相談支援について、

「どこへ相談したらよいか分からなかった」

「支援につながるまでに困ったことがあった」

「学校や職場で、こんな配慮があると助かる」

「こういう支援が地域にあったらよい」

といったことがありましたら、ぜひお聞かせください。

いただいた声は、個人が特定されない形で整理し、地域の課題を考えるための参考にします。

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この記事を書いた人

吉永しんいちのアバター 吉永しんいち せたがやの声をカタチに 運営

世田谷区に22年住んでいる関西人です。
よくしゃべり、よく笑い、よく食べるタイプです。
趣味は食事とゲームと読書です。

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