「自分がいなくなったら、この子はどうなるのだろう。」
高齢の親が、長年働くことや社会とのつながりに困難を抱える子どもを支えている家庭では、この不安が大きな悩みになることがあります。
近年、このような状況は「8050問題」と呼ばれています。
80代の親と50代の子どもという年齢の組み合わせを表す言葉ですが、その背景には、ひきこもり、病気や障害、失業、生活困窮、人とのつながりの希薄化など、さまざまな課題が重なっていることがあります。
世田谷区でも、この問題は地域の重要な課題として認識されています。
世田谷区でも高齢化が進んでいます
世田谷区の65歳以上人口は19万2,943人で、総人口の20.7%を占めています。
また、
- 75歳以上人口は11万1,240人
- 80歳以上人口は6万8,709人
となっています。
今後も高齢化は進み、2040年には高齢化率が26%になると見込まれています。
つまり、「高齢の親が家族を支える世帯」は、今後さらに身近な課題になる可能性があります。
実は多くの高齢者が家族だけで暮らしています
世田谷区の高齢者計画によると、65歳以上の方の世帯構成は、
- 単身世帯 34.0%(63,542人)
- 高齢者のみ世帯 38.0%(71,005人)
となっています。
つまり、65歳以上の方の約7割が、高齢者だけで暮らしている状況です。
こうした世帯では、親自身が病気や介護の問題を抱えながら、子どもの生活を支えているケースも考えられます。
8050問題はなぜ深刻化するのでしょうか
8050問題の特徴は、長い年月をかけて進行することです。
最初は、
- 学校に行きづらくなった
- 仕事が続かなかった
- 人との関わりが苦手だった
といった小さな困りごとだったかもしれません。
しかし、
「そのうち何とかなるだろう」
「家族で支えれば大丈夫だろう」
と考えているうちに、何年も経過してしまうことがあります。
世田谷区のひきこもり実態把握調査でも、把握された事例の37.6%が10年以上の長期化ケースでした。
問題が長期化するほど、親も高齢化し、将来への不安は大きくなります。
家族だけで支え続けることはできるのでしょうか
親が元気な間は支えられるかもしれません。
しかし、
- 病気になる
- 介護が必要になる
- 年金だけの生活になる
- 親が亡くなる
といった変化は、誰にでも起こります。
だからこそ、8050問題は「家族だけの問題」として考えることが難しいのです。
世田谷区も、高齢者計画の中で8050問題を「複雑・複合的な課題」と位置付け、地域や関係機関が連携して対応する必要性を示しています。
地域にできることは何でしょうか
8050問題を解決する特効薬はありません。
しかし、問題が深刻になる前に、
- 地域の居場所につながる
- 家族会に参加する
- 福祉の相談窓口を利用する
- あんしんすこやかセンターへ相談する
など、地域との接点を持つことで状況が変わることがあります。
大切なのは、
「困ってから相談する」
ではなく、
「困る前につながる」
ことなのかもしれません。
みなさんはどう思いますか?
親が亡くなった後、この子はどうなるのでしょうか。
その不安を家族だけで抱え続ける社会でよいのでしょうか。
地域には、どのような支え合いや相談の仕組みが必要だと思いますか。
ぜひ皆さんの声をお聞かせください。
【出典】
・世田谷区「第9期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(令和6年度~令和8年度)」
・世田谷区「ひきこもり実態把握調査」
・世田谷区「ひきこもり支援に係る基本方針」
・世田谷区住民基本台帳人口統計(令和8年4月1日現在)
・世田谷区将来人口推計(令和5年7月)
